この記事では、ネガティブスプリットで走るための考え方について、
「マラソンはネガティブスプリットで30分速くなる」の著者である、
吉岡利貢さんの本を、私自身が体験した話も交えてご紹介しています。
レースで前半よりも後半にペースアップして最後まで走ってみたい方の参考になればと思います。
ネガティブスプリットとは?
レースの前半より後半のタイムを速く走ることです。
前半突っ込み過ぎて、後半に大きなペースダウンをしてしまう方は、
1度試してみる価値があるでしょう。
①将来予測が可能な距離からペースを上げられる
②後半の失速を防いで失敗レースを避けられる
③心理的にラクだからペースを上げられる
④30㎞の壁がなくなる
⑤ペースメーカーの影響を受けない
ここからは、著書の内容と私自身の体験も入れてエピソードをご紹介します。
①将来予測が可能な距離からペースを上げられる
まず将来予測という言葉ですが、例えばフルマラソンを走っている時に、
残り10㎞あったとします。その時に最後までペースを落ちずにゴールまで走り抜くには、
どのくらいのペースで走っていけばいいのか、
自分の余力と照らし合わせる=予測することが出来れば、ペースを上げていくことができるという考えです。
私の経験上、レースで試すよりは普段の練習(30㎞走など)の中で、
何度も繰り返して自分自身の感覚を磨いていく必要があります。
②後半の失速を防いで失敗レースを避けられる
走り始めた方ほど、前半からペースが速くなりがちな傾向があります。
自分もそうでしたが・・・
このネガティブスプリットを習得すると、後半のペースダウンを防ぐことができ、
レースで大撃沈する可能性が極めて低くなります。
自己ベストを狙うだけがレースではありませんし、練習の一環としてレースでも
試してみることをオススメします。
25㎞からペースを上げていくとか35㎞まで我慢してそこからペース上げるなど、
試せる機会があれば何度もやってみるべきです。
③心理的にラクだからペースを上げられる
前半余力を残しているので、気持ち的にも余裕を持ってレースを進めていけます。
ある意味で精神的な余裕が無いと、後半のペースダウンは避けられないと言えます。
気持ちに余裕が無い時は大抵ペースの浮き沈みがあったり、1度落ちてくると
そこから巻き戻すのはかなり大変です。
④30㎞の壁がなくなる
フルマラソンを走ったことのある方は、きっと多くの方が経験されているであろう、30㎞の壁。
特に前半からペースを上げているランナーの多くは、残り12.195㎞が本当に苦痛というか
長く感じることでしょう。
私も初めて走ったレースで見事に玉砕されました。出来るならあの苦痛は味わいたくないものです。
「30㎞の壁」自体に科学的な根拠は未だ解説されていませんが、著書には次のような事が
考えられると書かれています。
・筋肉のグリコーゲン(糖質)の枯渇による疲れが末梢性疲労だとしたら、加えて注目したいのが、脳の疲れである中枢性疲労
・筋肉のグリコーゲンが枯渇する前に、運動野(脳の一部)に指令が届きにくい状態となる
¨前半から飛ばすと筋肉のグリコーゲン(糖質)の消耗が早いが、
完全に枯渇する前に30㎞を過ぎたあたりから脳による中枢性の疲労も加わる=つまり脳からの指令が弱まり、
自ら30㎞の壁を作っている¨
・逆に、前半を意図的に抑えて走れば、グリコーゲンの消耗が少なく、
脳の疲労も溜まりにくいので、30㎞の壁が存在しない
⑤ペースメーカーの影響を受けない
大会側が用意するペースメーカーですが、イーブンペースで走ることはほとんどなく、
ほぼほぼ前半が少し速いペースになりがちなので、それに着いていくと後半ペースダウンを
招いてしまう可能性があります。
なので、普段の練習から後半ペースアップすることを繰り返していれば、
ペースメーカーに頼りっぱなしになるのではなく、自分の感覚を信じて走れば、
前半から影響を受けることは考えにくいでしょう。
まとめ
①将来予測が可能な距離からペースを上げられる
→ゴールまでどのくらいのペースでいけそうなのか、予測することが出来れば、
後半ペースを上げていくことができる
②後半の失速を防いで失敗レースを避けられる
→後半のペースダウンを防ぐことができ、レースで大撃沈する可能性が極めて低くなる
③心理的にラクだからペースを上げられる
→前半余力を残しているので、気持ち的にも余裕を持ってレースを進めていける
④30㎞の壁がなくなる
→前半を抑えめに余力を残していれば、30㎞の壁を感じない
⑤ペースメーカーの影響を受けない
→ペースメーカーは前半からペースを上げがちなので、あえて抑えて自分のペースで走れば影響を受けない