痛み・ケア

ランニングで膝の痛みがあっても、休まずに走り続けるための実践方法

走り始めたばかりの方からベテランランナーまで、多くの方が悩まされている膝の痛み。

せっかく続けて走りたくても走れずに、そのまま辞めてしまう方もいらっしゃいます。

ランナーズの調査でも、ランナーの中で最も多いケガが膝痛でした。

ここでは、少しでも膝の痛みを緩和させ、再び走っていけるような状態を作るためのオススメをご紹介します。

動画でも膝痛に関する解説をしています↓

 

結論:股関節と背中を動かそう

膝痛なのに背中?股関節?と思われると思います。

普通なら膝の周りをあちこちマッサージしたり、湿布貼ったりという考えになるかしれません。

しかし、それらは一時的な対処療法に過ぎません。

では、なぜ股関節と背中を動かすのか。

それは、膝・股関節・背中それぞれが連動して動いているからです。

膝と股関節は大腿骨(だいたいこつ)という太い骨で繋がり、

股関節(骨盤)は背中の筋肉や骨(広背筋や肩甲骨)と繋がっています。

なので、どれか1つでも動きが制限されることで、

他の部位の働きが低下して、負担となってケガに繋がります。

これらを連動させるだけで痛みの緩和がみられ、走りながら痛みを改善させていくことも出来ます。

痛いから休養という選択肢が悪いわけではありませんが、休まずとも改善していく可能性があるということだけでも知っていただきたいです。

ランナーに起こりやすい膝痛の主な症状

では、ランナーに起こりやすい膝痛の症状にどのようなものがあるか整理していきます。

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん 通称:ランナー膝)

ランナーの中で最も多い症状の1つです。

膝の曲げ伸ばしを繰り返すことにより、骨と靱帯がこすれて炎症が発生します。

私も走り始めた頃、この痛みに数ヶ月悩まされました。

歩けない程の痛みはありませんでしたが、走り出すと痛みが出て徐々に緩和していく感じでした。

これを放置して末期的な症状になると、徐々に緩和するどころかずっと痛みが続くので危険です。

初心者やO脚、股関節の調子が悪い人に起こりやすいです。

鵞足炎(がそくえん)

膝の内側に痛みを感じます。

3つの筋肉が膝の内側に合わさり、その形が鵞鳥(ガチョウ)のように見えることから、このように言われています。

この痛みも腸脛靭帯炎のように、膝の曲げ伸ばしの繰り返しで発生しやすいです。

また、扁平足や膝が内側に倒れ込みやすい方も症状が出やすいです。

膝蓋靱帯炎(しつがいじんたいえん)

膝のお皿の下側に痛みを感じる症状です。

何度もジャンプを繰り返したりすることで痛みを伴うことから、ジャンパー膝とも言われています。

膝蓋骨(しつがいこつ)と脛骨(けいこつ)をつなぐ膝蓋靱帯が炎症を起こします

変形性膝関節症

膝にある軟骨がすり減って、関節が変形することによって痛みを伴う症状です。

初期は鈍痛を感じる程度ですが、悪化していくと階段昇降や長く正座をしていられない状態になります。

それから、体重が多い方も気を付けましょう。

痛みが起きてしまう原因

オーバーユース(使いすぎ)

ランナーの中では1番多い要因だと思います。

動作の中で体に負担のかかる走り方を繰り返すことにより、痛みが発症すると考えられます。

非効率な走り方のまま練習を重ねてしまうことで、多くのランナーが痛みに悩まされています。

さらには、アスファルトなど比較的硬い路面などを走ることで、

膝に着地の衝撃を受けやすいことも少なからず影響があります。

ちなみに、着地の衝撃は体重の3倍以上と言われています。

なので、膝に負担のかかる走り方が変わらない限り、休んで練習を再開しても再発してしまう可能性が残されたままになります。

太ももの筋肉の柔軟性低下

膝の前(大腿四頭筋)と後ろ(大腿二頭筋)に繋がっている筋肉が、

過度な運動などによってガチガチに硬くなることで柔軟性が乏しくなり、

本来なら膝を守ってくれるはずの筋肉が働いてくれず痛みを感じることがあります。

膝痛を改善するための運動

ここでは、実際に膝痛を改善するための運動をご紹介します。

カンガルー

    
①棒(タオルなどでも可)を持って両腕を上げる
②膝を曲げ、お尻を後ろに引く。※膝の位置は変わらない(つま先より前に出ないこと)
③①の状態に戻って繰り返す。20~30回×2~3セット。

背中と股関節の連動が生まれます。

膝痛時に効くツボ

鍼灸師の私がオススメする、膝痛時のツボをご紹介します。

せんねん灸で温めたり、ツボを10~15秒×3セットを手で軽く押してみましょう。

あまり強く押しすぎると返って痛めることもあるので、気を付けてください。

足三里

膝の痛みはもちろん、胃腸の調子を改善すると言われているツボです。


赤い足三里です

位置
膝のお皿の下から指4本分(人差し指~小指)上にあります。脛(スネ)の骨がありますが、それよりも少し外側にある前脛骨筋(ぜんけいこつきん)上に凹みがあります。

血海

痛みを緩和するために、血流改善を期待できるツボです。また、冷え性や貧血の改善にも用いられるツボで、特に女性にオススメできるツボです。


赤い血海です

位置
膝(お皿の上)の端(内側)から指3本分(人差し指~薬指)上にあります。


補足

歩行時でも痛かったりする場合は、出来るだけ早めに病院へ行き、

レントゲンやMRIなどの検査および診断を受けられることをオススメします。

そうしなければ、不安を感じたまま過ごすことになり、余計なストレスになるからです。

また、転倒など外傷によって膝に痛みを感じた場合も、すぐ病院へ行って検査してもらいましょう。

骨折や靱帯損傷などの場合は、動かさずに安静が必須です

まとめ

初めにお伝えしましたが、転倒などの外傷でもない限り、

膝の痛みは股関節や背中など、他の部位の不調によって発生することが考えられます。

ぜひ今回ご紹介した運動やお灸を実践して、楽しいランニングライフをお送りください。

痛み=休養という選択肢は最後に取っておいて、可能な限りトレーニングを継続していきましょう。

もちろん、何も対策せずに走りながら治していくのは難しいので、信頼できる先生に相談してみてくださいね。

ABOUT ME
おしん
妻より遅くなった元福岡国際ランナーです(笑)自己ベストは2時間31分台。 2021年現在、37歳、1児の父。 高校まで野球部。その後、独学でマラソンに取り組む。いわゆる市民ランナー。 当ブログでは、初心者ランナーをメインに、これまで自分が培ってきたランニングのノウハウ、鍼灸師として痛みやケアについての解説を書いています。 千歳市のRunupという小さなランニングスタジオのマネージャー。